プロローグ~初代桃介の発見とそして…~

ねこ日記

新型コロナウィルス感染症予防のためリモートワークになってしまい歩数が極端に減ってしまったので、散歩して通勤分の歩数だけでも確保しようと夜は妻と散歩するようになって数ヶ月…。

それは2020年8月1日夜の9時半頃のことでした。

どこからともなくミャーミャーと夜の帳に鳴り響いていました。鳴き声がする方に歩を進めると、なんと空き家の敷地内に仔猫がいるではありませんか。

空き家とはいえ、さすがに勝手に侵入するわけには行かないと思い、警察官にとりあえず来てもらいました。

しかし、捨て猫であれば動物愛護法によって保護できるようですが、状況から親猫が育児放棄したのだろうと判断されることに。法の前では私も警察官も無力でした。

翌日の8月2日、紆余曲折を経て保護します。

保護したその日のうちに動物病院へ。ミルクをもらい糖分も注射してもらうなどしました。体重は97g。体も乾燥し、ついたままの臍の緒も乾燥していたので、生後数日だろうとのことでした。体温が少し低いので湯たんぽで温めることに。猫なんて飼ったこともないので、基本を教わりつつ帰宅。

名前も「桃介」と命名します。

しかし、帰宅して翌朝まで2〜3時間おきにミルクを与えますが、病院ではちゃんと飲んでいたのに飲みが悪い状態でした。与えても下半身が痙攣しているように見えます。

8月3日。前日病院で「明日も病院に来てください」と言われていたので、在宅ワークの私は留守番しつつ、妻に桃介を病院に連れて行ってもらいました。

桃介はやはりミルクの飲みが悪いため、夕方まで病院で預かってもらい、カテーテルで直接ミルクを与えて様子を見ることになりました。夕方再び妻に病院に行ってもらいましたが、結局入院することに。

自らミルクを飲む力がなく、この日は2度カテーテルでミルクを与えてもらい、かなり元気に回復したようで、あとは自分で飲めるようになれば完璧という状態でした。

病院には2日後に来てくださいということでした。

8月4日。この日は朝からペット保険のことを考えたりして仕事を始めますが、動物病院の院長自ら電話があり、残念ながら早朝に息を引き取ったとのことでした。夕方、仕事を抜け出して動物病院まで引き取りに行き、帰宅後すぐに庭に埋葬して最期のお別れをしました。

たった数日でしたが本当に悲しくて仕方がありませんでした。

もともと助からない命だったかもしれませんが、それでも私たち家族3人の前に現れた桃介はまさしく天使のようでした。

しかし、なぜあの場所に桃介がいたのでしょう。ミルクを飲もうとしないため、親猫が育児放棄をした可能性がありますが、一部始終を見ていたわけではないため、すべて推測でしかありません。

いずれにしてもこういう不幸にして生まれてこなければならなかった命があったという事実だけが残ります。

ところで、最初に警察官に相談した時に「近くのアパートに野良猫にエサを与えているだけの人がいる」という話を聞きます。さらに私の母親に相談した際にも以下のような話を聞きます。

  • アパート周辺には野良猫が25匹近くいる
  • その野良猫たちがアパート周辺に糞尿してかなりひどい状態
  • 近くの公民館の花壇が野良猫に荒らされる
  • 野良猫にエサを与えているだけの人にクレームを言いに行くと、言った人の家の鍵穴に接着剤を付けられるなど嫌がらせをされる
  • アパートの大家さんも手が付けられない

警察官もその人を知っていたということは、おそらく警察沙汰になったのでしょう。

野良猫にエサを与えるという行為は、一見すると人道的…猫道的に良い話のように見えますが、地域住民とのコンセンサスが取れていなければ、ただの自分勝手な正義でしかありません。

ましてやそのアパートに住む人は、野良猫たちに避妊・去勢手術をさせているわけでもありません。つまりエサによって多くの猫が集まり、集まった猫たちはどんどん仔猫を出産していくことになります。猫は1年に数回出産し、しかも多頭出産です。

猫ですがねずみ算式に増えていくのは火を見るよりも明らかです。

これでは単にエサを与えているだけで保護とはとても言えない状態です。

野良猫は増えると糞尿の問題だけでなく、交通事故や動物虐待のリスクが高まります。さらには保健所に通報されて捕獲されるケースも待っています。捕獲後は数日で殺処分されることは言うまでもないでしょう。

猫は縄張り意識が強い動物ですし、大きくなれば独立します。独立すると上記のリスクがより高まるわけです。

実はこれらは桃介と出会ったことで知った内容でした。桃介と出会わなければ知ることもなかったと思いますが、きっと桃介は私たちにその事実を伝えるべくこの世に生を受け、死んでいったのかなと思っています。

コメント